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術後の複視
眼窩減圧術はバセドウ病眼症の眼球突出に対する唯一の根治的治療です。
眼球陥凹によってほとんどバセドウ病眼症のほとんどすべての問題が解決します。
顔つき、ドライアイ、涙目、充血、痛み、視力低下。
とても良い手術なのですが、手術なので合併症も起こりえます。
手術を受ける側として最も留意していただきたいのは術後の複視についてです。
今回は術後の複視について記載したいと思います。
現在行っている増えた眼窩脂肪を切除する現在の手術方法は
もともと台湾のLiao先生が発表された方法をもとにアレンジを加えて行っています。
Liao先生の論文ではもともと複視がなかった方の手術で
日常生活で自覚する程度の複視の発生率は3%前後、とされています。
現在当院ではアレンジした方法で行っています。
それは、眼を動かす外眼筋周囲の脂肪を残して脂肪切除するというものです。
この方法では日常生活に影響のある正面での複視はほぼ発生しません。
ただし周辺複視(上下左右最大限見たときの複視)は大なり小なり起こることが多いのでその点については留意していただかなければなりません。
また、筋肉周囲の脂肪を残す分だけ、奥から切除しなければならないので視力・視野障害は起こりえるかもしれません。
今までのデータを昨年末の香港の学会で出しましたのでそれをご紹介します。
どこを見ると複視が出るかを測る両眼単一視野という検査があります。
両側の眼窩減圧術を行った115例の結果を計測したのですが、正面から何度離れると複視になるかという数字を採取しました。
術前は 35.4度でした。 つまり正面から35.4度まで複視が出ないという状態ですが、
術後1か月 25.0度
術後3か月 28.9度
術後6か月 30.8度 でした。
こうしてみると直後は周辺を見たときの複視が出ますが、
その後徐々に改善することが分かります。そして術前の値までは戻りません。
30度の範囲では日常生活で複視を感じませんから術後半年待ってもらう必要があるということだと思います。
これは平均値なので良い人も悪い人もいることはご留意ください。
ちなみに開業からいままで、新しく発生した複視で斜視手術が必要になった人はいません。
つまり正面での新規複視発生率はゼロです。
引き続き、出来るだけデータで話せるようにしていきたいと思います。
2018年手術実績3011眼(1月~12月;眼形成手術のみ)
群馬大学 眼科 非常勤講師
涙道涙液学会 理事
オキュロフェイシャルクリニック東京 中央区銀座1丁目ビル8F
03-5579-9995
http://www.oc-tokyo.com/
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